##04 いつでも正面から

10数年の付き合いの中、”相手のギリギリ食指の範囲で、お互いが推すアニメをトレードして鑑賞する”という遊びを幾度かしていた時期を経て、たまには同じの同時に観ようぜみたいなノリで『スカイ・クロラ』を観に行ったことがある。丁度京アニCLANNADが放映してた時期で、「フウコよ」という台詞だけでゲタゲタ笑い、犬が出ねーな、鳥も出ねーな、押井映画なのに眠くならんなぁ、みたいな感想しか出なかった。UR 曰く「誰かと見に行く映画は概ね外れるんだ」とか、そんなようなことを言っていた。

 

2017年に『打ち上げ花火、下から見るか、横から見るか』というアニメ映画があって、Y氏と UR で観に行ったらしい。自分はその時期地元にはおらず、これは後から聞いた話だ。UR は事前に賛否ある前提で鑑賞し、概ね気に入ったらしい。ところがY氏はかなり扱下ろしたらしく、それで幾らか遣り合ったとかで、そんなようなあらましの話を投げてきた。こちらが聞き手になることは、まぁ珍しい事だった。

「・・・みてーな事があってさぁ」

「まぁ解らんでもない。そもそもURのアニメ眼はおかしい」

「おかしくねーだろ」

「いやぁムネモシュネの娘たちとか月詠とか、ふつう推してこない」

「観てたじゃねーか」

「観たよそりゃあ。そもそもトレードしたじゃんか」

「ああ、まりんとメランはきつかったわ」

「そういやアレだ、フリクリやるじゃん!来年だけど観に行こうぜ」

「せやな」

そんな風にざっくりした約束をした。

 

翌年の夏前に地元に戻った。約束どうり劇場へフリクリを観に行った。オルタナプログレも観た。どちらの帰り道も反省会だった。

両方観終わってから聞いたのだが、UR はこの作品が(俺は忙しくてその手の話題を全然知らなかったのだが)分裂したスタッフや声優陣のいざこざがあった事を知っていて、駄目で元々と付き合ってくれていたらしかったが、「まさかアトモスクが出て来てこんなに盛り上がらんとは、思いもしなかったわ」と笑っていた。その後は"作品への熱量はファンのものか制作陣のものか"みたいな話をしてたと思う。

 

今年は『打ち上げ花火』でもを見てみるか。